小品盆栽・豆盆栽の茜園芸
 
む庵の植物うろうろ旅-2
 私は植物学者ではありません。
 ただ、植物が好きで今まで生きてきました。
 これからは、植物の事についてぼそぼそとお話をしていこうと思います。
 まずは、茜園で扱っている植物達を羅列してみましょう。

 *全体でツツジ科のものが多いように思います。
 =ツツジ科=
 深山霧島数種、サツキ、山ツツジ色々、東国三つ葉、白ヤシオ、紫ヤシオ、夏ハゼ、ウスノキ、アクシバ、スノキ、アブラツツジ、梅花ツツジ、ネジキ、ドウダン類等々ですが、植物には判らないやつも色々とあります。

 このツツジ科の中に、私が「茜ツツジ」と名付けた山ツツジの変種だと思いますが、6月に小型の花がちらほらと咲いて夏は一旦休んでまた9月頃〜12月までずっと咲き続けるものがあります。
 私がこれを発見した時は、5〜6月に咲いたら次は11月に花が咲いたように思います。
 この10年頃から、季節のせいか6月〜9月から12月までぽちらぽちらと咲き続けます。
 これは狂咲きではなく 毎年ちゃんと咲きます。

 =バラ科=
 桜類・梅類、この類は色々あります。

 私が扱っている桜は、ほとんどが山桜の仲間です。
 普通の桜は樹の寿命が短い(80〜100年)と言われます。
 やたらに切り詰めるとそこから”ヤケ”が入りやすくなります。
 昔から「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」という言葉があるくらいです。

 人間と同じように植物にもへそ曲りで頑固なやつがいます。
 今から30年位前になりますが、友人の盆栽屋さんの所へお邪魔した時の事です。
 木爪(バラ科のボケの木)が2鉢ありました。
 模様木で小品盆栽の姿の良い木でした。
 「おいKちゃん、この木瓜(ボケ)俺に譲ってもらえないかな!」
 種類も私が探していた小輪の咲き分けの安田錦という名の付いた木でした。
 一時間おいてKちゃんが「茜さん、それやめといた方がいいと思うよ」。
 「値段はいくらでもいいよ・・・」
 「いや、そういう事ではなくて、7年前に惚れて買ったんだけど一度も花が咲かないんだよなぁ」。
 「えっ、咲かないの?」
 でも、私は腹の中ではもう決めていました。
 よし、俺なら2、3年の内には必ず花を咲かせてみせるぞ!!
 花が咲いたら「ほれ見ろ、咲いたぞ」と自慢しに来てやろう!
 と、意気込んで2本共買ってきました。

 それから8年、一向に花が咲きません。
 本当に強情なやつです。
 私は、夕方になると酒を片手に作場を廻りながら独り言を言って歩く事がよくあります。
 ”お前なぁ、もう少し幹の近くから芽を吹いてくれるといいんだけどなぁ(梅の木の前で)”。
 そうこうしている内に、例の強情木瓜(ボケ)の前に立っていました。
 ”お前、いいかげんにせぇよ!! もう8年も経ったんだぞ! 花咲かないんだったら来年は切り飛ばすぞ!!”
 その声が聞こえたのか、次の年に花が5つ咲きました。
 安田錦とは似ても似つかない変な花が咲きました。
 それから15年、再び咲かない年月が過ぎています。

 きっと自分の花があまりにも醜いので本当は咲く姿を見せたくないのかも・・・。
 色々な性格があって、植物って奥が深いですねぇ〜〜。

 *バラ科の中でも豆盆栽・小品盆栽に向いているユスラウメ・ニワウメ。
 根をしっかり作ると小型でも実が成り真紅に熟すと食べられます。

 *一重咲きの山桜も実が付く時があります。
 実は小さく黒い色に熟し食べられます。
 これもなかなか風情があっていいものです。

 *実物といえば多くありますが、ユキノシタ科のヤブサンザシが面白いと思います。
 一応、雌雄異株となっています。
 ですから、実を付けるのには雄木があった方が良いでしょう。

 私の友人が雄木がないと言うので分けてあげる事にしました。
 翌年の春に彼が来園して言うには、「茜さん、俺にくれたのは雄木だったよなぁ〜〜」
 「あぁ、そうだよ雄木だよ〜」
 「そうかやっぱり雄木かぁ? でもね、実が3ヶ付いてるんだけど・・・」
 「お前ねぇ、雄が子供産むわけねえだろう?・・・」
 次の年、私の所の雄木にも4ヶばかり実が付いたので二人で首をかしげながら「おかまだ〜〜」と笑い合ったものです。
 雄花の間に雌花がポツポツと咲く事もあるんだぁ〜〜。
 なぜなのか、未だに分りません。

 雄と雌の木があるものは多々ありますが、私達がよく扱う樹々ではウメモドキ・ツルウメモドキ類などには雌雄異株が多いと思います。
 鉢で造ると雌だけでは実が付き難いので、雄の木を見付けて一緒に並べて育てる事をおすすめします。

 私の所は生産者ですので数多く作ってやろうと実生を大量に蒔きました。
 結果が分るまでには最低4年掛かります。
 ちらほらと花が咲き始めて唖然としてしまいました。
 咲く花咲く花がみんな雄なのです。
 次の年にほとんどが花を咲かせましたが、ウメモドキ・ツルウメモドキの7〜8割が雄でした。
 ろうあ柿にいたっては9割が雄です。
 これでは5年間待ったのが無駄になってしまいます。
 それからは、雌から採った枝を挿し木にする事にしましたが、これらはなかなか発根し難い木ですので苦労しました。
 でも、雌雄異株のものは、種を蒔くとほとんどが雄になることを学びました。

 *ツツジ科の植物は、比較的に発根しやすい気がします。

 置き場所で別れるグループがおります。
 冬期には良いのですが、直射日光をきらう植物では特に夏ハゼ、スノキ、アクシバ、ウスノキなどで、明るささえあれば直日は避けた方が良いと思います。
 ナツハゼ、スノキは黒い実で熟すと食べられます。
 アクシバ、ウスノキは、紅く熟し、ウスノキは食べられますが、アクシバはまだ食べた事がありません。
 毒ではないと思うのですが?。

 実物では、リンゴ系、ナシ系、ガマズミ系、グミ、ウグイスカズラ、ヤブサンザシ、ヤシャビシャク、姫ヤブコウジ、マユミ、コマユミ、等々、実物は数限りなく沢山あります。

 植物の本を見て楽しむのも良い事だと思います。
 ”これ、育ててみようかな”なんて、挑戦者になるのも楽しいものです。
 自分で育てた木に一輪でもポッと花が咲いたら無茶苦茶うれしくなりませんか?
 俺もなんだか腕が上がったなぁ〜なんて、一人酒をやりながらニヤリとしてください。

 肥料の好きなものとあまり好きでないようなものがあるように思います。
 特に、植替えの時と真夏は肥料をやらない方が良いと思います。
 豆盆栽や小品盆栽のカエデやモミジ、和ハゼなどの葉や秋の紅葉を楽しむものは、強い肥料をやらない方が良いと思います。

 肥料が良く効くと徒長枝増えて年中切り込まなくてはなりません。
 太い枝を年中切る事になると枝先の柔らかな樹型が作り難くなります。
 バラ科の実物系は肥料を好むものが多いようです(リンゴ、梨、梅、桜、木瓜等々)。

 私が育てたものの中で一番の肥料好きは藤(ふじ)です。
 特に盆栽の藤は花が付き難く、昔の人は根が腐るくらい水に浸けて肥料を”どん”とやれという人がいました。

 逆に、私がこれには強い肥料を絶対にやってはだめだよと言ってきた木がありますが、私も歳をとってあせっていたのか早く結果を見たいのか?どんと肥料を積んでみました。
 2ヶ月後に45鉢(5年生の挿し木)全部枯れました。
 あぁ、俺の言っていた事は間違いではなかった!!
 それは”ユスラウメ”でした。
 枯れても直ぐには捨てられませんでした。

 植替えの時は、鉢底に少々のマグアンプと次肥は薄いハイポネックス(1000倍液)位で十分です。
 あせらない、あせらない・・・。
 
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